VAPE(ベイプ)電子たばこ禁煙日記

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致死的な「電子タバコ」と「加熱式タバコ」の共通点とは

   


石田雅彦  | ライター、編集者

 死者が出るなど米国で電子タバコによる健康被害が社会問題化している。欧米では電子タバコが若い世代に人気だが、日本では同じように加熱式タバコが広がっている。両者の共通点から、加熱式タバコにも米国で起きているような危険性があることがわかってくる。

電子タバコにもニコチン

 ニコチンを加えたリキッド(溶液)を加熱し、蒸気にして喫煙者に吸い込ませるという現在のスタイルの電子タバコが米国に登場したのは2003年のことだ。このタイプの電子タバコを開発したのは中国人の薬剤師といわれているが、電気的にニコチンを供給する同じような技術はタバコ会社にとって既知のものだった(※1)。

 だが、2000年代初頭は国際的なタバコ規制条約(FCTC)が締結された時期と重なり、タバコ産業は各国が条約に加盟することを妨害したり、条約内容を緩和させるためのロビー活動に熱心で、電子タバコがこれほど広まるとは考えていなかった。

 それが今や米国だけで4000億円以上の市場を持つまでに成長したわけだが、タバコ産業は2010年代に入って電子タバコの脅威に慌て始める。そして、電子タバコ会社を買収したり、自社で研究開発を進めるようになっていった(※2)。

 米国で電子タバコが流行した背景には、若い世代の既存の紙巻きタバコ離れがありそうだ。また、日本と異なり多くの国でニコチンを添加することが合法のため、ほとんどの電子タバコニコチン添加リキッドが使われ、その結果、喫煙者がニコチン依存症になりやすく、電子タバコを止めにくいという点もある(※3)。

 さらに、米国の場合、ニコチン添加リキッドや電子タバコ本体の入手が、インターネットのEコマースで可能だったことも大きい(※4)。これにより中高生なども気軽に電子タバコを吸い始めるようになった。

 特に、電子タバコ人気の火付け役ともいわれるJUULという電子タバコがあり、JUULはすでに米国で大きなシェアを持つ。

 JUULを作っているのは、現在、アイコスを製造販売しているPMI(フィリップ・モリス・インターナショナル)の元親会社Altria(アルトリア)の出資を受けて傘下に組み入れられたが、もともとはJTI(日本たばこ産業インターナショナル)の資金提供でスタートアップした会社だ。

 最近、米国のFDA(食品医薬品局)は電子タバコの使用について、素性の知れない相手から商品を購入したり、添加リキッドに新たな物質を加えないように警告を発している。2019年8月27日の時点で全米25州から電子タバコを吸ったことによる呼吸器疾患などの重篤な215症例が報告され、イリノイ州ではすでに死者が出ているからだ。こうした米国の電子タバコによる健康被害をみれば、JTIの罪はかなり重い。

大麻成分も添加できる

 電子タバコの多くがリキッドを使うため、リキッドにニコチンを含む様々な物質を添加することが可能だ。米国で呼吸器疾患の患者が続出しているのは、大麻(テトラヒドロカンビノール=Tetrahydrocannabinol、THC)が添加されたリキッドのせいではないかといわれているが、THC添加は以前から健康への悪影響が指摘されてきた(※5)。

 米国内のタバコ産業は、同国内の大麻の合法化の流れを受け、THC成分を加えたタバコ製品を発売しようと画策している。だが、TCH添加リキッドの電子タバコによると思われる重篤な呼吸器疾患の患者が続出している状況では、この企みが実現する可能性は低い。

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基本的な電子タバコ。左の透明部分にリキッドが入っていて大麻成分であるTHCも添加できる。右のほうに充電バッテリーが入っていて、喫煙者は電気的に加熱されたリキッドが蒸発した蒸気を吸い込む。Via:Christian Giroud, et al., “E-Cigarettes: A Review of New Trends in Cannabis Use.” International Journal of Environmental Research and Public Health, 2015

 一方、日本の場合、ニコチンの取扱いが法律で厳しく規制されているため、ニコチンが添加されたリキッドを個人輸入以外で販売することはできない。

 日本ではニコチンを摂取する場合、既存の紙巻きタバコかパイプタバコなどに頼るしかなかったのだが、2010年代の半ば頃から加熱式タバコという新型タバコが市場に投入されるようになる。

 JT(日本たばこ産業)は2013年12月、電気式加熱式タバコの初代プルーム(Ploom)のネットのオンライン販売を始めた。これが今でいうところの日本における加熱式タバコの最初のケースであり、このプルームこそ米国の電子タバコJUULを作り出した人間が開発したものだ。

どちらもニコチン依存症を作るため

 前述したように、電気的にニコチンを供給するシステムは、電子タバコの登場より前にタバコ産業によって研究開発されていた。PMIも1990年代から電子タバコを売り出そうとしていたし、アイコス(IQOS)の技術も1990年代の終わり頃から電気的にニコチンを供給するデバイスとして研究開発が始められている。

 つまり、欧米の電子タバコは日本の加熱式タバコとは親子のような関係になるわけだが、両者の共通項の中ではタバコ産業にとって特に喫煙者をニコチン依存症にするための研究が重要になる。

 例えば、JTはプルームを使い、既存の紙巻きタバコとニコチン摂取量を比べる実験をし、ほぼ匹敵する結果を得ている(※6)。

 また、PMIはアイコスと既存の紙巻きタバコのニコチン血中濃度の上昇の様子を調べ、喫煙後に急速にニコチンが摂取されることを確認している(※7)。ニコチンは、呼吸器から血液中に入り、脳に作用する速度が速ければ速いほど依存性が増すからだ。

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アイコス(青線)と紙巻きタバコ(赤線)の血中ニコチン濃度の変化。下のグラフは24時間のスパンでみた場合、右上のグラフは70分のスパンでみた場合。Via:Patrick Picavet, et al., “2016_Picavet_Comparison of the Pharmacokinetics of Nicotine Following Single and Ad Libitum Use of a Tobacco Heating System or Combustible Cigarettes.” Nicotine & Tobacco Research, 2016

 米国では電子タバコを吸ったことによる呼吸器疾患の患者が続出しているが、加熱式タバコが蔓延している日本でも対岸の火事ではない。これらの新型タバコには未知の物質が多く検出され、有害物質も確実に含まれている。

 タバコ製品の特徴は、依存性の強いニコチンが入っていることだ。喫煙者は、数年から何十年という長期にわたって朝起きてから寝るまで断続的に喫煙するようになる。それはニコチンの依存性のせいだ。

 有害物質はこうして少しずつ蓄積し、喫煙者の健康を確実に蝕んでいく。新型タバコの健康への悪影響はまだよくわかっていないが、被害が出てからでは遅いのだ。

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